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鹿島 達徳 | 珈琲豆屋 香煎

一杯のコーヒーに導かれた店

自家焙煎コーヒー専門店と聞くと、敷居の高さを感じる人も多いのかもしれない。そんなイメージを心地よく裏切ってくれるのが『香煎』だ。本格派の味を提供しながら、雰囲気はいたってアットホーム。どんな客人も受け入れてくれる懐の深さは、店主の鹿島達徳さんの人柄を象徴している。鹿島さんとコーヒーの出会いは、東京で過ごした営業マン時代にさかのぼる。偶然立ち寄った名店の味わいが記憶に残り、その美味しさに目覚めたという。

それからほどなくして鹿児島市へUターン。“独立希望の方、歓迎”と書かれた求人誌に目を留め、コーヒー店で修業を始めた。徐々に仕事を身につけ、店長を任されたが、目標は定まらなかった。「鹿児島に戻ってから、いろいろな店に行きましたが、東京で飲んだようなコーヒーには出会えませんでした。」そんな時、友人が行きつけの店を勧めてくれた。早速、足を運び、コーヒーを注文してみると「香りといい、色といい、東京で出会ったコーヒーと同じで。飲んでみたら味もまた同じでした。」実はその店のマスターは、鹿島さんが出会った東京の名店で修業を積んだ人だった。のちにその店は、鹿島さんにとって“聖地”といえる存在になる。「自分もこういうコーヒーを出してみたい。」一杯のコーヒーに導かれたかのように、独立の夢が膨らんだ。その後の数年間は、自分の引き出しを増やすために、さまざまな職種を経験した。そんな慎重な鹿島さんの背中を押してくれたのが、奥様のお父様。「家内の父は、僕がコーヒー屋をやりたいと知っていましたから“どうせやるなら、今やったらどうだ”と言ってくれたんです。」世の中の景気は下り坂であるにも関わらず、応援してくれることがありがたかった。その想いを糧に、2006年『香煎』をオープン。店舗を構えたのは、奥様が生まれ育った姶良の中心街だ。その選択は同時にコーヒー専門店のない街に新たな文化を根付かせる挑戦でもあった。

地域に必要とされる店作りを目指して

「時間はかかっても、いい状態のものを届ける」のが鹿島さんのこだわりだ。そんな専門店の味を気軽に楽しめるのが、開店当初から打ち出したテイクアウト。コーヒーは作り置きせず、注文を受けてから丁寧に抽出する。イートインが基本の自家焙煎コーヒー店では画期的な取り組みだった。まとまった注文の際には、店頭でお待たせしないようにと、近隣への配達も始めた。こうした取り組みが功を奏して、地域に少しずつ浸透してきた『香煎』。あらゆるサービスの根底にあるのは「コーヒーを美味しく味わってほしい」という思いだ。鹿島さんには、教訓にしている言葉がある。「俺たちはこの一杯が勝負なんだ。」それは師と仰ぐ“聖地”のマスターのひとことだ。「コーヒーの味を決めるのは店主の姿勢。」美味しいコーヒーを創るための努力と気配りがなければ、感動をもたらす一杯にはなり得ないという。「コーヒーの味には人間性が表れると思うんです。どのような姿勢でコーヒー豆と向き合い、味づくりに取り組んでいるのか。お客様にベストなコーヒーを提供するためには、目配り、気配りも重要な要素のひとつだと思います。」焙煎から抽出まで、一切の妥協を許さず、コーヒーに向き合う毎日。ストイックに仕事に打ち込めるのも、家族の支えがあってこそ。ショーケースに並ぶケーキは奥様が、ランチのカレーはお母様が、手間暇かけて仕込んでいる。「自分の力だけだったら、きっとうまくいかなかったと思うし、本当に家族あっての、お客様のための店だと思っています。」自分のためだけにたてられた至福の一杯を求めて。『香煎』でひと息つきたい。

鹿島 達徳 | 珈琲豆屋 香煎

文:里山 真紀
アートディレクション:冨永 功太郎
デザイン:篠原 拓朗
撮影:高比良 有城
企画:丸野 卓・久保 雄太

 

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