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浜地 克徳 | スケッチ作家・蒲生茶廊 Zenzai 店主

武家屋敷の風情を共有できるカフェ蒲生のカフェ

『Zenzai』が4月に再開される。そんなニュースが街を駆け巡っている。築100年以上の武家屋敷で、奥様とカフェを営むのが、浜地克徳さん。子育てを優先し、昨年6月をもって一時休業していたが、子どもたちが進学することもあり、再開を決めたのだという。2006年に自宅開放のカフェとしてオープンした『Zenzai』。趣深い武家屋敷の景色をみんなで共有したいと考えたのがきっかけだった。「たまたまこの家にご縁があり、最初は借家として住んでいるだけだったんですが、なんかこう、もったいないような気がしてきて。例えば建具にしても今ではすごく貴重な素材だったり、縁側の佇まいとか、庭の風景だとか、せっかくだからいろいろな人と共有したい、多くの人に見てもらいたいという思いがあって。オーガニックカフェを開きたいという家内の夢もありましたし、思い切ってやってみたんです。」

有機農業を志し、大阪から鹿児島へ

実は大阪出身の浜地さん。かつてはデザイン業を営んでいた。自分は本当に世の中に必要なものを作ってきたのだろうか。そんな内省を続ける日々。そして浜地さんはひとつの結論にたどりつく。「ものづくりで世の中に本当に必要なものは、食べ物、野菜だと思ったんです。」農業の中でも環境に配慮した有機農業を志し、受け入れ先を求めて、各地を転々とした。そんな中、ことのほか好印象を抱いたのが鹿児島だった。「オープンでパーッとした感じで、“住んでもいいよ”という声が聞こえたような気がしました。」幸いなことにまもなく受け入れ先も見つかった。そして1998年、鹿児島にIターン。念願叶い、頴娃町で農業を始めた。土を耕し、水をまき、米や野菜を育てる。試行錯誤を繰り返しながら農業に没頭し、7年の歳月が流れた頃、浜地さんの体が悲鳴を上げた。体を酷使しない経営者になるか、それとも兼業農家になるか。決断を迫られたが、どちらも選べなかった。悩んだ末に撤退を決めた浜地さん。苦渋の決断だった。

蒲生の街に息づく文化と暮らす

その後、友人の紹介で移り住むことになったのが、蒲生の武家屋敷。家庭菜園で野菜づくりを続けるかたわら、時間があればスケッチに出掛けた。そんな姿が地域の目にとまり、徐々にデザインの仕事も舞い込んできた。姶良市の発足前に、蒲生郷のロゴや統一看板を作ったのも浜地さんだ。「合併後も蒲生郷が埋没しないように、ブランドイメージを守れるように。」そんな想いを込めて、じっくりと関わってきた。“カモコレ”を手掛ける「NPO法人 Lab蒲生郷」の設立メンバーでもある浜地さん。アートやデザインという強みを生かして、街づくりにも積極的に参加している。「蒲生は300年前から街割りが変わってないんです。そしてそこが観光地にならず、みんな普通に生活している。当然建て直していたり、武家門がなくなっている家も多いんだけど、みんな“武家としての想い”を持ちながら暮らしているように感じています。」1500年以上の樹齢を誇る大楠の感動と、300年以上も受け継がれてきた武家屋敷の風景。1000年と100年、2つの時間軸の層が、蒲生の街に知的な静けさを与えているという。そんなオーラに引き寄せられるかのように、ここ数年、街にクリエーターやアーティストが集まり始めているというのも興味深い。「韓国との20年以上に渡る文化交流だったり、太鼓坊主(てこぼうず)という太鼓集団だったり。そういった文化の土台があるから、乗っかれる状態になっているんです。それだけ知的な文化を育てる気質が蒲生の人たちの中にあったということですよね。」蒲生が今、面白い。そんな噂が広まる日もそう遠くはない。

浜地 克徳 | スケッチ作家・蒲生茶廊 Zenzai 店主

文:里山 真紀
アートディレクション:冨永 功太郎
デザイン:篠原 拓朗
撮影:高比良 有城
企画:丸野 卓・久保 雄太

 

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